まだまだ男性社会の世の中である。どの世界も男性が強く、女性が社会に進出してからまだ間もないこともあってか、やはり立場は弱いかもしれない。
しかし、介護の世界に限っては、決してそうした世間の事情と同じというわけではない。つまり、介護の世界では、女性が男性よりも強い社会となっているようだ。これはもともと、介護自体が家事の延長と捉えられているからかもしれない。もちろん、介護にもさまざまな資格があり、家事の延長だけではどうにもできないこともたくさんある。しかし、それでも、高齢者に対する気配りであるとか、細かいところに気付くことができる点であるなど、男性よりも家事や育児の経験が豊富な女性の方が適している部分が多く見られる。
それは、身体介助をともなう、いわゆる介護の分野だけでなく、ケアマネージャーの世界でもそうだろう。ケアマネージャーは、一般の介護士や介護福祉士と違って、食事の介助や身の回りの世話をするわけではない。介護が必要な人に介護サービスを紹介したり、介護に関するさまざまな相談事に応えたり、複雑な介護制度の書類作成を高齢者本人に代わって作ったりなど、体を使うというよりも頭とコミュニケーション能力がものを言う職業なのだ。
もちろん、性別が職業に与える影響は介護職の世界でも限定的であるが、実際ケアマネージャーの男女比率は圧倒的に女性の方が高いし、高齢者の側も女性のケアマネージャーに安心感を抱く人が少なくないのである。